松戸の学童保育のあゆみ
―N P O法人 松戸市学童保育の会の誕生-

1.行政の施策と松戸市学童保育連絡協議会の要望
松戸市の学童保育に対する支援は、1974年の「松戸市留守家庭児童会運営要綱(委託事業)」と1981年の「運営助成要綱(補助事業)」による2つの形態があり、中心は補助事業の施策でした。
松戸市学童保育連絡協議会(以下、市連協)は、学童保育は社会的性格が強い事業であることから「公設公営」に移行するように長年行政に要望していました。
1996年に松戸市は「松戸市学童保育問題研究会」を発足させ、1997年には「順次、委託方式に移行する」という提言が出されました。
市連協はその提言を受けて、公設公営化を基本要望としながらも「市内すべての学童保育所をひとつの公的機関へ一括委託する」ように要望しました。行政と市連協が意見交換を積み重ねた結果、2000年1月に書面による委託化を前提とした回答がありました。
しかし、委託化を前提とした回答があった同年4月に松戸市で機構改革があり、新たに学童保育の担当となった児童福祉課が5月に「市民を含めた検討を行う」と一方的に表明して、事実上委託方式を白紙にし、2001年に「松戸市学童保育基盤整備検討委員会(以下、検討委員会)」を発足させました。

2.松戸市学童保育基盤整備検討委員会
市連協は検討委員会に学童保育関係者を参加させるように要望し、保護者2名・指導員2名を含む検討委員17名によって、2001年8月から2002年10月の期間に10回の委員会が開催されました。市連協は各回の委員会開催に合わせて話し合いを重ねました。
検討委員会は2002年6月の中間報告で「法人格を持つ事業者に移行」、「社会福祉法人の参入を認める」こととし、「事業運営の3形態8種類」、「運営か所数の制限」、「各学童保育所の運営委員会が法人を選択する」ことを示しました。
2002年10月の「松戸市学童保育基盤整備計画骨子(案)」では中間報告の内容に加え「事業主体は松戸市、運営主体はNPO法人・社会福祉法人」、「運営主体を複数化」することを市長に答申しました。

3,市連協が「NPO法人 松戸市学童保育の会」を設立 
この間、市連協は①松戸の学童保育の歴史と理念を継承すること、②全市的な事業の発展、③行政の事業責任の明確化を基本目標にしてきました。
これを受けて2001年4月に「市連協が母体になって法人を設立」させてでも「市内全ての学童保育所が一つの運営主体へ委託する」ことを目指すことを決めました。2002年4月には「委託先の事業者は公的機関あるいは市連協が立ち上げる運営主体(NPO法人)」とすることを前提に、同年7月に市連協が委託事業の受け皿となる「NPO法人を設立」することを議決しました。
その議決を受け、2002年7月に設立プロジェクトチームを発足させ、9月19日のNPO法人設立総会準備会を経て、9月28日に市連協が「NPO法人 松戸市学童保育の会設立総会」を開催しました。
その後10月に千葉県にN P O法人設立の認証申請、12月に千葉県が認証、12月27日に設立登記が完了し、2003年2月23日に「NPO法人 松戸市学童保育の会総会」を開催して市連協から独立、法人としての事業を開始しました。

4.各学童保育所が運営法人を選択
行政から各学童保育所の運営委員長・保護者会長等を対象にした委託先に関する説明会で、2002年10月に2つのNPO法人名・4つの社会福祉法人名を公表し、各学童保育所が運営法人の選択を行うことを述べました。2003年2月には、運営法人先を同年3月中旬までに選択すること(選択できないときの移行期間は2005年3月まで)、また、運営法人は1法人7か所、うちNPO法人は4か所を上限とすることが説明されました。
市連協の基本目標である「市内全ての学童保育所の一括委託」、「行政による事業責任の明確化」が果たせなかったことに加え、運営か所数に上限が設けられることになりました。市連協から独立した「NPO法人 松戸市学童保育の会」も「上限4箇所」という制限を設けられることになりました。
しかし、12か所の学童保育所が当法人を選択し、保護者と指導員が熱意をもって行政に要望した結果、行政の決断によって12か所の運営が認められることになりました。 
「松戸の学童保育の歴史と理念を継承・発展させる」ことを大切にして、「NPO法人 松戸市学童保育の会」は2003年4月から運営を始めることになりました。